みなさんご存知のように、マルタでの交通手段といえばバス。日本では移動手段といえばバスよりも電車のイメージがありますし、他の国に行っても地下鉄が移動手段になることも多いですよね。マルタには地下鉄はできないのでしょうか…?
8月27日付のニュースによると、ヨーロッパの都市の中で地下鉄が通っている中で最も小さい都市はイタリアのブレシアとのこと。ブレシアは2013年に地下鉄を開通させており、それからヨーロッパで最も小さい地下鉄を開通させている都市になっています。マルタに地下鉄が通っていないのは国の大きさや人口が原因なのでしょうか?
マルタの人口は最近の統計では50万人に迫る493,559人で、これは2008年から20%増えています。この50万人という数字はフランス第3の都市であるリヨンと変わらない数字だそうです。そのリヨンでは1978年に地下鉄が開通しており、現在は4路線通っており駅の数は40にもなるとのこと。総距離は32キロになるそうです。
小さな都市であっても地下鉄を通しているところはあり、世界で最も短い地下鉄はイスラエルのハイファにあるたった1.8キロの地下鉄。端から端まで走っても8分間で、駅も6駅しかありません。ハイファの人口はマルタ全体の半分に過ぎず、また初めに名前の挙がったブレシアも人口20万人ながら13.7キロの間に17の駅を置き、6年間で100万人の利用者数を達成しました。
地下鉄を開通させるにはもちろんそれだけのお金が必要になります。実はマルタではここ2年電車を走らせようとする動きがあり、2017年には国民党がメトロ(地上、地下含め)建設のために23億ユーロの予算を打ち出しました。しかしコンラッド・ゼレブという建築家によると彼の考えるメトロ案では30〜40億ユーロが必要とのことで、またマルタ島からゴゾ島まで地下鉄のためにトンネルを通すだけでも3億ユーロかかるとみられています。ブレシアのメトロ建設費用は9億ユーロだったそうで、マルタに電車がないのは費用面が大きそうです。ゴゾ島まで地下鉄を通した方が利用者数も増え利益にもなるはずですが、そもそもゴゾ島まで地下鉄を通すことに莫大な費用が必要になるということですね。
2008年に一度イギリスのコンサルティング会社がマルタの電車(地上)に関する研究を行っていますが、マルタ島のバレッタからスリーマ、バレッタからタカリの2路線だけで2〜3億ユーロ前後かかる見込みだったようで、複数の島から成るマルタだからこその悩みもありそう。また、マルタ国民の80%以上はバスではなく自家用車を交通手段と捉えているという結果もあり、公共交通機関を利用する文化があまりないのかもしれません。
これからマルタに留学をしようと思う私たちからするとバスよりも電車の方が利用しやすいイメージはありますが、地形やそれに合った予算、国民の志向を考えるとあまり現実的ではないのでしょうか。マルタ島からゴゾ島まで電車で行けると楽そうですよね。ゼレブの考えた地下鉄案は下図の通り。いつか実現すると良いですね。